ご存じない方も多いようですが、住宅ローンは主居住用不動産のためのもの。住宅取得控除という優遇税制の適用もあり、その対象が限られています。
このため、金融機関によっては、別荘購入用に「セカンドハウスローン」などの名称で別のローン商品を用意しているところもあります。ただし、金利は住宅ローンよりも高めなのが普通。しかも、優遇税制の恩恵も得られません。
別荘といえば、長年、"お金持ちの象徴"と思われてきました。実際、その購入はローンでなくキャッシュで、というのが主流だったようで、リゾート物件を扱う不動産業者の多くが提携ローンを用意していないとも言われています。Xさんの場合も、不動産業者が提携ローンを用意していませんでした。住宅ローン感覚で、別荘用のローンを申し込んだものの、金利差や優遇税制の適用外といった条件を考え合わせたとき、審査で落とされてしまったようです。
住宅ローンは主居住用不動産のためのもの、ということからおわかりいただけると思いますが、賃貸マンションなどの資産運用を目的とした物件についても、住宅ローンは利用できません。
会社で、
「ローンはきちんと払っていけると思うのに、こんなことがあったんだ」
と恨めしげに話すXさんに、アドバイスしてくれたのが同僚のYさん。
Yさん:「僕も同じような感じだったんだけど、いろいろ調べてみたら、貸してくれるところもあるんだよ」
Xさん:「それって、不動産ローンって高金利のやつだろう?」
Yさん:「いや、それが住宅金融公庫なんだよ」
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住宅金融公庫が、都心で暮らす人々が地方に"別荘"を持ちやすくなるようにと用意しているのが『住まいひろがり特別融資』です。
『住まいひろがり特別融資』は、現在住んでいる住居のほかに、新たに別の住居を取得しようとする場合に利用できる融資制度。本人が利用するための「本人居住型」と、親が子のために、あるいは子が親のために取得する場合に利用できる「親族居住型」の2タイプがあります。
対象の住居は、マンション・戸建て、新築・中古を問わず、リフォームでも利用することができます。いずれも、民間の同種の住宅ローンよりも低い金利で借りられるのが特徴です。
ビジネスにおいて、最近、注目されている「団塊マーケット」。2007年以降、団塊の世代が大量に退職し、退職金を手に入れることが予想されるため、重要なマーケットとして多くの企業が団塊の世代向け商品を用意しています。
別荘についても同様。退職後、豊かな自然に囲まれたリゾート地で悠々自適の生活を送りたいという人は少なくないと思われ、そうしたニーズに応える金融商品が表れてきています(働き盛りのXさんはこれには当てはまりませんが)。
代表的なのが、スルガ銀行の「ドリームライフ・アセット」です。
スルガ銀行「ドリームライフ」シリーズは、対象を55歳以上の人に限定しているのが大きな特徴。従来のローンは、審査項目に「定職に就いていること」が挙げられていたため、定年退職後の人はなかなかローンを利用することができませんでした。
この点、スルガ銀行は、「人生の履歴」で審査。「ローンをきちんと支払うかどうかは人間的なことが大きい。定年までしっかり勤め上げたなど、その人の人生の履歴をみれば"人となり"は判断できる」という考えから生まれたというローンです。「ドリームライフ」シリーズにはいくつかの種類がありますが、別荘あるいは運用不動産には「ドリームライフ・アセット」が利用可能です。
これまで、住宅ローン対象外ということでなかなか手が出なかった別荘も、購入する手段は確実に増えてきているようです。こうした金融商品を利用して、LOHASなど充実した生活を送る人が増えるといいですね。