ご家族の成長とともに、新居を決意された土屋様。農地として所有していた広々とした敷地に新たなご自宅をプランするにあたってご主人が要望されたのは、シンプル&モダンなデザイン、そして、健康的で快適な住み心地というふたつのポイントでした。
まず外観は、周囲の街並みとの調和を最優先に考えて、昔ながらの瓦屋根が印象的な和風のフォルムをベースに、色味を抑えて落ち着きのあるデザインに。そこにレンガタイルでちょっとした遊び心を加え、瀟洒な雰囲気を漂わせる仕上がりとしました。さらに内装では、年を重ねて風合いが増す自然素材の使用をご提案。木や土などの素朴な質感がかもし出す居心地の良さを損なわないよう、床材とのコントラストを考えてテーブルを大理石としたり、カーテンやソファの色味を抑えたり、家庭用品などがすっきり仕舞えるよう収納スペースを十分に設けたりと、インテリアコーディネーターたちの目立たない工夫も凝らされています。
この結果、土屋様のお宅には芯の通った統一感があり、「どこにでもありそうだけど、しっかりと個性のある」ある意味とても贅沢なデザインとなりました。
実は、室内に自然素材を採り入れたのは、デザイン性というより「健康的で快適」というテーマにお応えするためのご提案でした。
1階、2階の居室の壁は全て珪藻土(植物性プランクトンの遺骸が堆積してできた土)、廊下には「エコカラット」という自然由来の建材を使用し、調湿性や断熱性、脱臭性、有害物質などの吸着性能を高めています。また、床下には炭を敷き、床材にはチークのムク材、天井には調湿性に優れる上に、マイナスイオンを発生させる「イオニング」というセラミック系の材料を使用するなど、いたるところで自然素材の恩恵を感じることができます。「ムク板の床というのは、感触が全然違いますね。暖かさとか柔らかさを感じます。子供が遊んで傷をつけても、ヤスリで削って簡単に補修できるというのもありがたいですね」とご主人。そのお側では、いたずら盛りのお嬢様が、床の上を裸足で駆け回っていました。
さらに、この効果を高めるのが、建物全体の高い気密性能と24時間の調湿換気システム。調湿換気システムとは、従来の24時間換気システムをさらに進化させた技術で、室内の熱や冷気を逃さずに汚れた空気だけを入れ替え、温度と湿度を快適な状態に保つシステムです。
この相乗効果は一目瞭然で、土屋様のお宅の玄関の扉を開けた瞬間、空気の感触、とくに湿気の感覚が全く違って感じます。「最初の頃、勘違いして『玄関にまでクーラーを効かせるな』と小言を言ったことがあるくらいです。実際はクーラーなんて使っていなかったんですけどね。これだけ快適だと仕事の疲れがすっきり取れますよ。以前の家とは、朝起きたときの気分が全く違います。とくに入梅の頃は強く感じましたね」とご主人様も驚いていました。このお宅でひと冬越えてみて明らかになったのが電気代の差。エアコンの使用が少なくなった分と深夜電力利用の節約分で、もっとせまかった以前のお住まいと比べて、電気代が半分以下になったそうです。
DATA
●所在地/上福岡市川崎
●入居/平成17年1月
●設計・施工/近藤建設
今回の物件担当者から一言
田中 巧 Takumi Tanaka
近藤建設株式会社 特販チーム
リーダー
一級建築士
「贅沢に取り入れた自然素材や24時間の調湿換気システムなど、私どもの集大成ともいえる仕上がりです。また、私やインテリアコーディネーターの提案をとても大切にしていただいて、やりがいを感じながらお手伝いできました」