Next Lifestyle Lab.

第2回 「和」と「LOHAS(ロハス)」の深縲怩「関係

四季折々の自然の変化を楽しめる「和」の家

例えば、木と紙で作られた昔ながらの家。
高温多湿となる夏を快適に過ごせるよう、風通しの良さを確保しなければならなかったこと、地震や台風などの災害のため、堅牢な家を建てることが難しかったことなど、理由はいくつか考えられますが、日本の家は、外に対して開放された家づくりがなされており、四季折々の自然の変化を楽しむことができます。

その分、石でできた西洋の家と比べると耐久性では劣りますが、壊れれば、修理したり、建て直したりすればよいというのが、もともとの日本の考え方。伊勢神宮は、神宮式年遷宮(じんぐうしきねんせんぐう)といって、20年ごとに本殿を全く同じ形で建て直しますが、何百年ともつ石の聖堂を建てる西洋とは全く発想が違うのです。

「和」=LOHAS的な考え方

大学のとき、村上陽一郎教授(現在、国際基督教大学大学院教授)に「科学史」という講義で教わったことですが、西洋と東洋(とくに日本)では、自然観が大きく異なります。
「やおろずの神」という言葉がありますが、日本では、森羅万象、すべてのものに神がおわす、と考えてきました。これに対し、一神教であるキリスト教的な考え方の西洋では、「自然は克服すべきもの」です。
つまり、西洋では、家づくり・町づくりにおいても、「厳しい自然」から身を守るため、「家」で外界を遮断します。しかし、日本では、「神」を切り離された生活を送るという発想はありません。このため、外に対して開放された「家」づくりがなされてきました。
自然を克服するのではなく、そのまま受け入れるという「和」の発想は、きわめてLOHASの考え方となじむものなのです。

「和」の良さを再発見しよう

食文化においても、自然の素材を活かす「和食」が、健康的であるとして、海外でも高く評価されていますね。
もちろんこれは、四方を海に囲まれ、海の幸、山の幸が得られる地理的条件に恵まれたため。少し前、中国に行ったとき、現地の人が「中国では日本のように、簡単には新鮮な食材が手に入らない」と言っていましたが、そういわれれば、たしかに中国の食材は、アワビ、フカヒレなど、乾燥させたものが多いかもしれません。

それぞれの国の文化は、その風土によって育まれたものですから、「日本の文化が海外のものより優れている」というつもりはありません。例えば、万里の長城で異民族の侵入を防いでいた中国で、外界に対して開放的な家など考えられないでしょう。しかし、LOHAS的な生き方という時代の流れを考えたとき、「和」文化には多くのヒントが含まれているはずです。

耐久性の低かった昔ながらの「和」の家に対し、今の家ははるかに快適さを持続することができます。それを捨てて昔の生活に戻る必要はありません。現代の良いところはそのままに、古くから伝えられてきた良いモノを採り入れていく竏停・。それがLOHASを長く続けていく秘訣といえるかもしれません。